10月 唐松(カラマツ)
そろそろ山の木々も色づいてくる頃です。
真紅もみごとですが、黄色に染まる葉も美しいです。
黄色に色づく葉で鮮やかなものは、私は桂の木だと思いますが、唐松も美しい黄金がかった黄色に染まります。
落葉樹の松
松の仲間は針葉樹で、一年を通じて濃い緑の葉をつけています。
香りも強く、お正月に生ける時なども、すがすがしい香りを放ってくれます。
唐松は松の仲間には珍しく落葉します。
そして、次の春には再び初々しい若芽を出します。
唐松の様子をご覧になった方々は記憶していると思いますが、まっすぐに伸びた幹は、すくすく成長したと感じるようなおもむきがあります。
唐松は、松の仲間としてはめずらしく体力がありません。
太陽の光をとても必要とするために、他の木々より高くまっすぐに成長して、他の木々に太陽の光をさえぎられないようにします。
そして、たくさんの光をあびて夏を過ごし、秋になると冬支度を始めます。
体力がないために、葉を緑のまま越冬できないのです。
幹を守るために、葉を落とし、厳しい冬備えます。
寒い雪国や標高の高い場所に生育しているので、冬は日照が少なく、唐松にとっては負担が大きい季節なのです。
自らが倒れてしまわないように、葉を落として本体を維持し、厳しい冬を乗り越えます。
そうして春を迎えた唐松の新芽はやわらかい緑で、見る人の心を温かくします。
黄色に落葉している葉を踏みしめて歩く、秋の散歩も楽しいものです。
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